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ロシアゲート疑惑とは|米大統領選挙から見えてくるトランプ政権の実態

ロシアゲート疑惑でトランプ政権は揺れに揺れています。クーデターが起こるのではとも言われ、ペンス副大統領がいつ大統領になってもいいように準備を整え始めたという噂も出て来ました。



アメリカ合衆国の規定では、万が一、大統領が罷免もしくは辞任した場合、副大統領が次の大統領に就任すると決まっているので、新たに大統領選を行うわけではありません。


つまり、トランプ大統領が何らかの理由で辞めた場合、ペンス副大統領が大統領に就任します。最近の噂によると、ペンスさんは大統領になるための具体的な準備を始めたようです。



というのは、5月から政治活動委員会(PAC)を発足させているんですね。現在まで現職の副大統領がPACを設立した例はかつてありません。


PACとはPolitical Action Committeeの略で、個人(企業役員、富裕層)から政治資金を集めるために窓口としてつくられる委員会のことです。米国では企業、団体、労働組合などから政党への献金は禁止されていますが、個人からの献金は合法になります。


大統領が変わるとなると経済状況にも影響が出て来ます。ということは、株価にもシナジー効果が及ぶはずです。ペンスさんはトランプさん以上のアメリカ第一主義者ということなので、もしもペンスさんが大統領になった場合、日本への風当たりは強くなるかもしれません。


そもそもロシアゲート疑惑とはいったい何なのか?ということで、トランプ政権の今後の行方も含めて予想されることをまとめてご紹介したいと思います。






ロシアゲート疑惑とは

米大統領選挙の際、「ロシアとトランプ陣営につながりがあったのでは」との疑惑が浮上してから早くも1年近くになります。政府機関の調査により、その真相が次々と明るみになりつつあります。そのため各報道機関は躍起になって実態を報道中です。


ロシア疑惑の焦点は3つ。まずは、選挙期間中、トランプさんが有利になるようにロシアのハッカー集団を使い全米20カ所以上の選挙システムにサイバー攻撃を仕掛け、選挙に干渉したのではないかという疑惑。


次に、この仕組みを作るためトランプさんが側近らと共に、ロシア側と共謀したのではないかという疑惑。さらにこれを隠ぺいするため、疑惑を捜査していたFBIの長官を突然解任し、司法妨害を行ったのではないかという疑惑です。


選挙直後の1月、CIAとFBIの両方は、ロシアがトランプ氏のライバルであった民主党のクリントン候補を標的に断定したことを報告書で発表しました。


選挙中、内部告発サイトのウィキリークスに、民主党幹部らが保有する数万通にもおよぶメールが流出。中には、クリントン氏のイメージに悪影響を与える情報も含まれ、クリントン陣営は大混乱に陥りました。


民主党の依頼を受けて調査にあたったセキュリティー会社の報告によると、この背景にはロシアのハッカー集団が暗躍していたのです。その名前は「APT28」。


セキュリティ会社の調査担当、ジョン・ホルトクイストさんによると、このハッカー集団は並のハッカー達ではありません。ものすごくお金がかかる方法で、世界規模でも長期的な攻撃を仕掛けることができます。


国家レベルのハッカー集団ということになり、ロシアという国が関与していることに疑いの余地はないようです。ただし、ロシアのプーチン大統領は、今回のサイバー攻撃への関与を完全に否定しています。プーチン節というか、いつものパターンというか、ロシアでは笑いのネタにも使われているくらいです。


また、RTといってロシア国営の海外向けニュースチャンネルがあります。本部はモスクワですが、100以上の国々で放送されており、アメリカでもRTを視聴している人は800万人もいます。なぜかRTは大統領選挙中、トランプ候補を褒め称える一方、クリントン候補を徹底的に批判しているんです。


例えば、「過激派組織ISの資金提供者が、クリントン候補にカネを提供している」というデマを報道したり、「クリントン候補はパーキンソン病を患っている」など、選挙を不利にするための根拠のない情報を巧みに拡散し世論の心理を誘導するような行為をくり返していたんですね。


トランプ政権の今後とは

この経緯から、日本ではあまり騒がれてはいないものの、トランプさんの弾劾を求める声が広まりつつあります。そこで、疑惑の真相を突き止めるために、元FBI長官のロバート・モラーさんが捜査を指揮することになりました。


トランプさんが弾劾訴追される可能性も無きにしも非ずです。これはただ事ではありませんね。すでにメディアでは、ペンス副大統領を次の米国大統領として受け入れる報道がされているので、その信憑性はかなり高いです。





合衆国憲法は、大統領が反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪を犯したときは弾劾されることもあるとしていて、また有罪判決を受けた場合は罷免されると規定しています。


弾劾訴追の権限をもっているのは下院です。下院本会議で決議案を採決し過半数の賛成が出た場合、トランプ大統領は合法的に訴追されることになります。


下院で可決されると、その決定に基づき上院は弾劾裁判を開始します。下院の代表者が検事をつとめ、FBI長官が裁判長、上院議員が陪審員ということで、投票を行います。もし、3分の2以上の同意があれば有罪になり大統領は事実上、罷免されます。


これまで罷免された大統領はいないものの、トランプ大統領の罷免、もしくは退陣は日に日に現実味を帯びています。


米ブルームバーグ通信は、下院の特別委員会が疑惑の真相を追求するため、バノンさんに対して来年の1月上旬に証言することを要請したと報道しました。バノンさんは、大統領選でトランプ陣営の最高責任者を務めた人になり、前首席戦略官兼上級顧問です。


政権発足後から側近中の側近としてトランプ大統領の意思決定に関与しているので、疑惑に絡み訴追されたフリン前大統領補佐官の辞任や疑惑捜査中のコミー元FBI長官の解任についての詳しい経緯を知っているとみられています。


とのことから、証言に応じれば、この点を追求される可能性は極めて高いです。トランプ政権をみていると、たった1年くらいの間に側近たちが次々と消えていることも気になるところです。


これまで罷免されかけた大統領

第17代大統領アンドリュー・ジョンソンは、連邦政府による南部再建で南部の人に有利な政策をとったとみられ、それが影響して共和党急進派と上手くいかなくなり、政治上で争っていた陸軍長官スタントンを罷免したことからThe Tenure Lawを破ったという口実で弾劾裁判にかけられました。


The Tenure Lawとは、政府高官が在職中は罷免を免れるという法律のことです。弾劾の訴追は下院を通過した後、上院で弾劾決議の採決が取られましたが賛成35票・反対19票となり、弾劾の成立に必要だった36票には至らなかったため否決になっています。


1999年はビル・クリントン大統領のセックス・スキャンダルです。モニカ・ルインスキーとの不倫疑惑により弾劾裁判に持ち込まれましたが、判決の結果は45対55票でこちらも無罪です。ただ、女性問題は別として、判決の後もクリントンさんの人気は衰えず、任期を満了するまで高い支持率だったことは確かです。


1974年はニクソン大統領のウォーターゲート事件があります。この事件をめぐり司法を妨害した疑惑などで下院司法委員会は弾劾の勧告を決定しましたが、弾劾訴追の前にニクソンさんが辞任したため弾劾裁判にはなっていません。


トランプさんが大統領になってからの株価

トランプ大統領が誕生したときは、株価が暴落するかもしれないと一時騒がれていました。ところが、世間の噂とは裏腹にNYダウは過去最高値を更新しています。



上はNYダウの日足チャートになります。25日移動平均線を下回ることもなく、株価が上昇していますね。今のところ、まったく暴落する気配は感じられません。ただ、PERが20を超えてくるとNYダウが暴落する可能性が高くなると考えられています。2018年1月14日のPERは23.14なので、警戒が必要です。