効果のある広告の見出しは、基本的なルールにのっとって書かれています。ということは、そのルールを知っていれば事前に大失敗を回避できるわけです。
広告の見出しには、新聞や雑誌などでくり返しテストした結果、ほとんど、もしくはまったくその成果が見られなかったというものがあります。
どんな見出しがダメで、なぜそうなのか。
当記事では、見出しを検証した結果からわかった、見出しを書く5つのルールと13のアドバイスをご紹介します。
見事に失敗した見出しの例
どこがまずいのか考えながら失敗作の見出しをみて下さい。
「やめて、お願い……私にスピーチを頼まないで!」(人前でスピーチをする講座)
あなたに勝ち目はほとんどない(ビジネススキルのトレーニング講座)
あなたがどれだけ「よく本を読んでいる」かのテスト(文学名作集)
心配するばかりで、人生の楽しさを忘れていませんか?(生命保険)
既婚男性の多くが抱える問題は……(生命保険)
奥さまに対してフェアですか?(生命保険)
堂々めぐりの毎日を送っていませんか?(家計簿)
うだつの上がらない夫に妻はこんな手紙を書いてはくれません(ビジネストレーニング講座)
以上が、検証の結果、使えないと判断された見出しです。どんなところが良くないのか。日本一のマーケッターと言われている神田昌典さんの分析によると以下のことが挙げられます。
(1)上記の見出しはすべて、基本的に好奇心をくすぐるものです。たとえば、「やめて、お願い……私にスピーチを頼まないで!」という言葉なら、「あがり症なんだろうか…」と気になるかもしれませんし、「あなたに勝ち目はほとんどない」という見出しをみれば、「なぜなんだ?」という疑問が湧くかもしれません。
つまり、何が問題なんだろうということでその先を読むようにアピールしています。
(2)どの見出しにも新しい情報はありません。
(3)どの見出しにも、読み手のベネフィットになり得るものが提供されていません。
(4)全体的にネガティブ、否定的要素を含んでいる、マイナス面のアプローチが多いです。(例)「心配するばかりで、人生の楽しさを忘れてはいませんか?」「不毛な数年間」など。
では、読まれる見出しとは、どんな見出しなのか。
成功した見出しについての記事があるので、それと合わせて検証すると効果的な見出しを書くための基本的なルールがわかってきます。
失敗しない見出しを書く基本的な5つのルール
(1)見出しには、「ベネフィット」を必ず入れること。読み手の欲求を満たすものがあることを伝える。これは読まれる広告(ランディングページを含め)の基本ですが、実をいうと多くのひとはこれに反した見出しを書いているんです。
(2)新しい情報があることを伝える。新商品やこれまでにないタイプのサービスといったものがあれば、それをどーんと伝えること。
(3)「好奇心をくすぐるだけで終わらせない」ようにする。「好奇心」を「ベネフィット」や「新情報」と組み合わせれば、効果的な見出しになりやすいですが、「好奇心」だけで効果になることはめったにありません。
けれども、新聞・雑誌・インターネットを見ると「好奇心」だけで売り込みを仕掛けている広告がけっこうあります。しかしながら何かを売るには、「ベネフィット」が必ず必要です。
(4)ネガティブ・マイナスのイメージになるようなことは避ける。ポジティブ・プラスになることから伝えること。
(5)簡単、しかも時間をかけずに欲しいものが手に入ることを伝える。(ただし、実証されているといった信頼できる内容にすること)
うまい話には裏がある
通信教育が広告の見出しに「もっと楽な仕事でもっと収入アップしたい方へ」というものを使いました。というよりも、この手の見出しは今でもたくさんあります。
ところがこの見出しへの問い合わせ(反応)は芳しいものではなかったのです。
「ではなぜ?」きっとお気づきですよね。
そう、「うまい話には落とし穴」があるかもしれません。
話がうますぎたため信頼性がなかったのです。
効果のある見出しを書くためのアドバイス
効果的な見出しを書くための基本的な5つのルールがわかったところで、もう少し詳しく宣伝効果の出やすい見出しの書き方について説明します。もちろん宣伝効果は実証済み、神田さんの折り紙つきアドバイスなので、これこそまさにベネフィットです。
買いたい理由を短い言葉で表現する
あなたが広告をみて「これ買いたい」と思うその訳を考えること。なぜそれが欲しいって思うのか、見出しをみたときにお金を払ってまでその商品やサービスを購入したいと思うかどうか考えてみること。
それから買いたい理由を短い言葉で書いてみる。それを見出しにつかう。
あえて短く書こうとしない
見出し(タイトル)なので、簡潔に書かなければならないなんて思わないこと。確かに、長すぎると見出しっぽくないかもしれません。しかし、言葉の数が少なすぎると言いたいことが伝わらなくなってしまいます。
コンパクトにまとまった見出しのほうが、スッキリとしていて何となく良いような気がしますが、重要なのは言いたいことがちゃんと伝わるかどうかです。伝えたいことをすべて伝えるならば、文字数なんか気にせずにしっかり書くこと。
ファブリカントという会社が、ニューヨークタイムズ紙に掲載した広告の見出しをご紹介します。この会社はダイアモンド業界ではたいへん有名なのですが、一般の人にはあまり知られていませんでした。(https://www.fabrikant.com/)
リサ・パークさんは母親の宝石を12,000ドルで売り4,000ドルも損しました。ファブリカントにお越しください。あなたは同じ間違いをしなくて済みます。
When Lisa Cooper
Sold Her Mother’s Jewelry For $12,000,
Shen Made
A $4,000 Mistake.
Visit The Fabrikants And You Won’t Make
The Same Mistake.
実はこの見出しは、1ページの半分以上のスペースを使っています。ところがこの広告が掲載されるやいなや、たちまちのうちに大きな反響を呼び、なんとわずか3年で広告出稿量が12倍にも増加したのです。その反応がどれほどのものであったか、言うまでもありません。
ただ、同じ広告を地方紙に出した場合、ほとんど反響は得られませんでした。これは扱っている商品に関係しています。売れるかどうかということは、扱う商品でも違ってきます。
とは言え、この見出しが、単に「宝石を売るときは、ファブリカントにご来店ください。」であったならば、これほどの反響を得ることにはならなかったはずです。
堅苦しい見出しは書かない
カチコチに固まった言葉や、考えないと意味が分からないような言葉は避ける。生き生きとしていない、気力を失っている、力を感じられないような言葉は使わないこと。
お利口になり過ぎない
読み手に「うまい!」と思われてしまう場合やダジャレ的な見出しは書かない。商品への欲求を奪うことになりかねません。
本日の目玉!
こちらの卵で目玉焼きは如何ですか
ごちそうサイズで
家族YY(ワイワイ)
意味のない見出しもタブー
率直な人にありのままの事実
もし、こんなことがおこったら……
役立つ情報があることを伝える
相手に納得して読んでもらうには、役立つ情報があるってことを見出しの部分で伝えること。例えば……
いっこうに貯金が増えないあなたへのアドバイス
みるみる文字がうまくなる方法
ほんのささいなことで大きな変化
一番キモになってくるポイントを見出しに入れる
見出しには伝えたいことで最重要なことを入れる。ここで見込み客の心をつかまなければなりません。以下はある業界紙の全面広告で使われたもので、まずい理由は、一番伝えたいところが広告の最後に小さく入っているところです。
では、見て下さい。
広告主様へのお知らせ
ロンドンのABC社取締役
A.B.ロイズ
ABC社は先祖代々にわたり国際的広告代理店として皆さまに親しまれており、数多くのヨーロッパ企業の広告を世界各国で担当しております。弊社のロイズがパリに6月1日~6月15日まで滞在する予定ですので、海外市場に関する広告のご相談をご希望の方は、下記まで書面にてご連絡ください。
パリ5番街
○○ホテル気付
A.B.ロイズ宛
これは、海外市場の情報を求めている顧客に宛てた広告です。なのにそれについての文章が最後にきています。忙しい読み手なら文頭を読んで、スルーしてしまうかもしれません。もしも読み手がこういった情報を探していてもです。
ベネフィットと好奇心の両方が入った見出しを書く
もしも以下のような見出しを書くならば……
こうしてインポテンツにならずに済みました
1日5万円稼ごう
次のように変えた方がベネフィットを提供するだけでなく、好奇心も掻き立てられるようになります。
こんなちょっとかわったことでインポテンツにならずに済みました
1日に5万円稼げるとしたら、切手代を払ってもいいですか?
この見出しの広告はどちらも雑誌に掲載されたものです。共に大成功で、何年も繰り返し使われました。広告の掲載料金が売り上げ利益を上回るようになるまで、ずっと使われていた成功例です。
事実だけを伝える見出し
タイトルを読むことで何の広告なのかわかってしまう見出しは効果的ではありません。たとえば……
歯が黄色いと、笑顔も魅力も半減
この先を読まなくても、なんの広告なのか予測が付いてしまいます。とは言え、見出しだけしか読まない人に簡潔に伝えたいことを伝えることができるという長所もあります。そのいい例がこれ……
白い歯っていいな~ ホワイト&ホワイト(ライオン)
画像・ロゴ・社名を見出しと組み合わせる
画像やロゴ・社名を見出しの一部にすることもできる。たとえば、次の3つはすべて同じ見出しですが、画像と社名が違うので、伝えることが異なっています。
上の広告が伝えているのは(1)ドライブの楽しさ(2)かっこいい車の魅力。
これは子供の可能性を伸ばす教育プログラムの広告。
旅行の勧誘・楽しみを増やそうと提案している広告。
つまり、見出しに社名やロゴが入っていれば、同じ見出しでも全くことなるメッセージを伝えられるんです。
ビジュアルをつかう
ビジュアルは伝えたいことをよりはっきりさせるために使われます。たとえばライザップの広告には、「結果にコミットする」という見出しだけしかありません。
ところがこのビジュアルを見ただけで、何を言いたいのかハッキリわかります。
わかりやすい見出しにする
抽象的表現、よく考えなければ意味がわからないのはダメ。たとえば…..
創造力、それは人に与えられた能力
わかりそうでわからないのもアウト。たとえば……
もし、夫をもった誰もが、未亡人なら誰もが知っていることを知っていれば、生命保険に入っていない夫をもつ妻はこの世にはいないはず
読み手が広告を目にするのはたった一度かぎり、それも何気ない一瞬です。相手は何をいっているのだろうと考えたりしないのです。具体的には、すぐに分かるページに飛んでいきます。
広告には見出しを必ず入れる
広告には見出しを入れること。広告の見出しについてテストを繰り返した結果、「見出しのない広告を読む人は、ほとんどいない」ということがわかっています。つまり、広告の記事を読んでもらいたいなら、読むに値する説得力のある理由を見出しに入れるべきです。
しかしこれには例外もあります。ライザップのように伝えたいことを見事に画像で表現している広告の場合、そのメッセージは見出しなしで十分に伝わっているので、これなら問題はありません。
以上が基本的な5つのルールと13のアドバイスです。